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患者応対技術とは?


《目次》

1.患者応対技術とは?


1.患者応対技術とは?

1−1.これまでの捉え方

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 これまで服薬ケアにおいては、服薬ケアを実践するにあたって学び身につける必要がある技術や考え方として、第一に「服薬ケアコミュニケーション」と名付けて体系化した「服薬ケアのためのコミュニケーション技法」、そして第二に「服薬ケアステップ」としてまとめた、POSの考え方に則って思考を進めていくための方法論を掲げていました。

 そしてそれ以外に服薬ケアの基本技法をその概念としての重要性と共に提示し、また「成功するために必要なこと」として、「感情への着目」「日常生活へ関心を向けること」などの行動指針とともに、「服薬ケア倫理」に代表する薬剤師としての倫理的側面まで含めた心構えや立ち振る舞いへの指針を重視してきました。

 その中でも特に、「患者さんへの関与の結果は、どのように行ったのかも大切だが、それよりもどのような念いで行ったのかが大切である」ということで、単なる心構えではなく、具体的なアウトカムを求める姿勢として、「与える愛の念い」が大切であることを提唱してきました。

1−2.コミュニケーション技法だけではうまく行かない

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 しかしその後、数多くの薬剤師の生涯教育の実践経験の中から、どうもうまく行かない例、正しく理解していただけない例が多数見受けられるようになり、しっかりと理解していただくための理論的組み立てとしても、そして実際にやり方を身につけるためのノウハウとしての展開においても、何らかの手直しが必要であると強く感じるに至りました。

 例えば、非言語の重要性を強調し、「患者さんの非言語をしっかりと受けとると共に、自分自身の非言語も患者さんに届いていることを忘れないように」と教授すると、SPを用いた患者応対研修などにおいて、「今回はうまく非言語が出せた!」と、覚えた技法の断片を間違った方向へ用いる例などが見受けられるようになってしまったのです。

 また、「頭の中をPOSにする」ワークなどの演習においても、多くの演習参加者が、「服薬ケアステップ」に則った思考方法を、それぞれ試行錯誤しながら学んでいく中、少数ではありますが、「思考方法、思考方法と言うけれど、そんなあたりまえのことはいらないから、次にどうするのか早くやり方を教えてくれ」というような感想を抱き、せっかく参加してくださっても、残念ながら「服薬ケアステップ」の根本的な理解はしていただけない方もいらっしゃいました。
そのような方は2度と演習に参加してくださることはなく、大変残念な思いと共に、まだ理論として欠けているものがあると深く反省して来たところです。

1−3.「患者応対技術の実践法」執筆にあたって

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 そんな中で、診断と治療社より「患者応対技術の実践法」執筆のお話をいただき、具体的な会話例の詳細な解説書を書きたいという私の願いがかなうことになり、その執筆に合わせてどのような理論的な補完ができるのか、自分でもいろいろと考えてみました。

 そして得られた結論が、これまで「コミュニケーション技術」というくくりで捉えてきた技術的観点を改め、薬剤師として患者応対を進めていくための総合的な技術論という観点で、「患者応対技術」としてまとめていくのが一番良いという結論に至りました。

1−4.薬剤師の患者応対に対する研究

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 以前薬学会でこんな講演を聞いたことがあります。演者は医師で大学の教員でしたが、「医学部には患者さんとのやり取りを技術的に研究し、それを教える講座として、面接技法などと称する講座がある。薬学部にはあるのか?薬学部では一体誰が患者応対の研究をしているのだ?」という内容の話でした。

 当時からコミュニケーション技術については、薬剤師として必要なものだけを選び出して「服薬ケアコミュニケーション」として教えていましたので、ある意味それは服薬ケアですでに研究していることではあったのですが、「コミュニケーション技術」と言ったのでは少し範囲が広くなりすぎてしまって、薬剤師の患者応対の技術としては的が絞りきれていないという感じがしていました。

 そこで私は拙著「患者応対技術の実践法」の刊行に合わせて、服薬ケア理論の整理を行い、「患者応対技術」という名前の元にまとめなおすことにしました。
一つ一つの実践法が大きく変わったわけではありませんが、「なぜそのように考えることが必要か?」「なぜこのような技法が効果を得ることができるのか?」というような理論的な組み立ては、格段にスッキリとまとまったと感じています。

 まだその結果本当に理解しやすくなったのかどうか、その後の事例があまり集まっていないので断定的なことは申し上げられないのですが、私の感触としては、少なくともすべてを総合的に教えるにあたっては、教えやすくなったということだけは間違いありません。

 今後もいろいろ事例を集めて行きたいと思いますし、ある程度知見が得られれば、学会への発表も考えております。

 どうぞ皆様も何か気が付いたことがございましたら、ぜひ研究所までご意見・ご感想をお寄せ下さい。

皆様からのご意見、ご感想を心よりお待ちしております。

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